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平成25年度税制改正大綱-H25.1.25
 
 H25.1.24に「平成25年度税制改正大綱」が決定されました。消費税の増税に合わせた調整措置のほ か、企業のビジネス環境の見直し、富の再配分と流動化が主な内容となっております。なお、税制改正 の適用は今後の話ですが、過去の税制改正で本年から適用開始となる項目も忘れずにおさらいが必要で す。
  
■概要■
ポイント1:消費税の増税に合わせた調整措置
 住宅等の駆け込み需要や負担増を調整するため、住宅ローン控除が4年延長(本来はH25.12で廃止) されます。その他、住宅を自己資金で購入した場合や、特定の改修工事等を行った場合に所得税を減額 する措置が拡充されます。
 
ポイント2:企業のビジネス環境の見直し
 中小企業の再生計画において役員が保有する事業資産を贈与した場合にみなし譲渡課税を適用しない こととされます。不動産売買の契約印紙が安くなるほか、印紙が必要な領収書の金額を3万円から5万円 引き上げます。中小企業の交際費は800万円まで全額損金となります。国内設備投資が増えた場合は 投資額の3%、給与支給が増えた場合は増加額の10%(又は雇用数が増えた場合は1人40万円)が税額 控除できます。研究開発による税額控除の限度も増えます。
 
ポイント3:富の再配分と流動化
 個人所得が4,000万円を超える部分に45%の税率がかかります。相続税の基礎控除が現行の6割まで カットされ、一般家庭の財産規模でも納税が生じる可能性が高まりますが、自宅や家業で使っている 規模宅地の評価減は拡充されます。生前贈与の税率を引き下げるとともに、教育資金の非課税などで直 系尊属の資金を引き出す措置が講じられています。国内居住者による外国籍を持つ海外居住者への海外 財産の贈与などには課税範囲を広げます。
 
 
■詳細■
 主な改正項目(抜粋)は次の通りです。
項目
税目
適用
内容
高所得者増税 所得 H27年分- 課税所得40M超について45%の税率
公社債課税の整理 所得 H28/1- 公社債の譲渡所得の非課税を廃止、特定公社債の 利子譲渡益は上場株同様の課税に整理
ローン控除延長 所得 H26/1-H26/3
H26/4-H29.12
住宅ローン控除を延長、拡充
H26/1-3:20M1% H26/4-H29/12:40M1%
住民税ローン控除 住民 H26/1-H26/3
H26/4-H29.12
ローン控除残額を住民税から限度まで控除
H26/1-3:97.5k H26/4-H29/12:136.5k
中小再生措置 所得 H25/4-H28/3 中小企業役員が、法人再生計画に基づく事業資産 贈与をした場合、みなし譲渡不適用
相続基礎控除引下げ 相続 H27/1- 課税されない財産額を現行の60%相当に縮小
相続税率引上げ 相続 H27/1- ~300M:40%⇒~200M:40% ~300M:45%
300M~:50%⇒~600M:50% 600M~:55%
小規模居住用拡充 相続 H27/1- 特定居住用宅地の限度を240uから330uに拡大
小規模面積調整 相続 H27/1- 特定居住・事業の専用宅地は、他の小規模特例と 面積調整を行わず限度いっぱい評価減
小規模要件緩和 相続 H27/1- 介護老人ホーム入居で空き家の自宅や、一棟構造 区分の二世帯住宅も対象に含める
未成年・障害控除 相続 H27/1- 未成年控除および障害者(特別)控除を1年につき 100k(200k)に引上げ
贈与税率引下げ 贈与 H27/1- 直系尊属から20歳以上の者が受ける贈与とその他 の贈与に分けて全体的に引下げ
精算課税対象 贈与 H27/1- 相続時精算課税の対象者を拡大し、20歳以上の孫 と60歳以上の贈与者も含める
事業承継税制 相続・贈与 H27/1- 要件を緩和・見直し
教育資金非課税 贈与 H25/4-H27/12 30歳未満の者へ直系尊属がする教育資金等の金融 機関信託等による贈与は15M(学校外支出は5M) まで非課税、30歳到達時に残額は再課税
土地・住宅登記 登録免許 H25/4-H27/3 土地の売買所有権移転、住宅家屋の所有権保存・ 移転の登記料の軽減を2年延長
不動産売契印紙 印紙 H25/4-H26/3
H26/4-H30/3
不動産の譲渡契約書の印紙の軽減措置を5年延長の うえ、減額
領収書の印紙 印紙 H24/6- 金銭・有価証券の受取書の非課税金額を30kから 50kに引上げ
外国財産贈与等 相続・贈与 H25/4- 居住者(国籍問わず)から非居住者(外国籍)に 相続贈与された国外財産に課税
設備投資促進 法人・所得 H25/4-H27/3
開始年分
青色事業者の国内設備投資(工場・倉庫、機械な ど)が前年比1割増しの場合は投資額の30%償却ま たは3%税額控除
給与支給税制 法人・所得 H25/4-H28/3
開始年分
青色事業者の役員・家族以外の給与支給額が前年 比5%増しの場合は増加額の10%税額控除(雇用促 進税制等との選択)
研究開発税制 法人・所得 不明 2年間の時限措置として税額控除の上限を当期税額 の20%から30%に拡大
雇用促進税制 法人・所得 不明 増加雇用者1人あたりの控除税額を200kから400k に拡大
交際費損金緩和 法人 不明 中小法人のみ、交際費は8Mまで全額損金算入
投資簿価修正 連結法人 不明 投資簿価修正事由がみなし配当事由(非適格組織 再編等)の場合の修正額の計算を整備
特定資産損失等 法人 H25/4- 組織再編の損失移転規制(特定資産損失、引継欠 損金)の規制対象に、他の組織再編に起因する損 失等を追加
独立企業間価格 法人 不明 移転価格における利益水準指標に営業費用売上総 利益率(ベイリー比)を正式追加
外国資本政策の税制 法人 不明 過大支払利子税制と過小資本税制の重複適用を排 除する措置
  自民党:平成25年度税制改正大綱リンク 
平成25年1月25日
  
 
    
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