情報コラム
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国際進出企業の課税リスク-H24.6.18
 
 近年、中国をはじめとするアジア等新興国に進出する企業が増えています。そうした多国籍企業にと って国際税務は具体的なビジネスリスクとして認識する必要性が出てきました。今回は、一般的な(特 殊な事業形態や租税軽減を目的としない)ケースでも、起こりうる国際税務の概要をまとめました。
  
■概要■
ポイント1:全世界所得課税と外国税額控除
 日本は全世界所得課税方式を採用しています。全世界課税方式とは、外国支店等における所得も日本 にある本社の所得と合算して日本の税率で課税し、そのうえで外国において課された外国税額を控除す る方式です。これにより国際的な二重課税を排除しつつ、課税漏れを防止しています。
 
ポイント2:外国子会社合算(タックスヘイブン)税制
 軽課税国(タックスヘイブン)に外国子会社を有する場合、その外国子会社の一定の所得を日本に所 在する親会社の所得に合算して日本の税率で課税し、そのうえで外国子会社において課された外国税額 を控除する税制です。軽課税国の子会社に所得を移転して日本の租税を回避する行為を防止するための 制度です。
 
ポイント3:移転価格税制
 ビジネス上の影響力のある外国企業との間で資産の売買、役務提供や無形資産の使用等があった場合 に、その価格が公正な第三者との間で決まる独立企業間価格と相違する場合は、差額について認定課税 する税制です。外国への支出が多すぎる場合または日本への収入が少なすぎる場合にのみ発動します。  
 
■詳細■
1.全世界課税と外国税額控除【※()内は仮の数値】
 ある企業が日本に本社を有し海外販社である支店を有する場合、日本の税制では日本国内の所得 (1000)と外国の所得(500)を合計したうえで一企業の課税所得(1500)とし、これに日本の税率(40%) で課税(600)が行われます。しかし外国においては支店の所得について課税権を有することから、外国 支店において現地課税(500*20%=100)が行われます。すると、外国支店の所得(500)に対し、日本と 外国の両国において国際的な二重課税が生じます。そこで日本の税制では、外国で納めた税額のうち限 度額までの金額を日本の税額から控除して二重課税を排除することとしています。
 この限度額は次の算式により求めます。
  【日本税額600*(国外源泉所得500/全世界所得1,500)=限度額200>外国税額100∴控除額100】
 上記の結果、この企業は日本において500(=600-100)、外国において100、合計で600の税コスト を負担することになり、二重課税は排除されることになります。上記のような全世界所得課税方式にお いては、どんなに税率の低い国で稼得した所得であっても結果的に本社の属する日本の税率により税コ ストの負担が求められることになります。
 全世界所得課税方式の概略は、海外進出をする多国籍企業にとっては必須の前提知識となります。
 
2.外国子会社合算税制
 1の例で挙げた企業が、日本の高率な税負担を回避しようと海外販社を子会社化した場合において は、外国子会社合算税制の適否について検討が必要となります。実質税率が20%以下の軽課税国にある 日本企業の子会社(出資議・決権割合50%超)は特定外国子会社に該当します。そして、その特定外国 子会社のうち適用除外要件を満たさないものの一定の所得は、日本の親会社に合算して日本で課税する 措置が設けられています。
 合算措置の適用フローチャートは次の通りです。チャートから外れるものは合算措置の適用はありま せん。
【特定外国子会社に該当】⇒【適用除外要件満たさず】⇒一定の所得の合算
            ⇒【適用除外要件満たす】 ⇒【資産性所得あり】⇒資産性所得のみ合算
 適用除外要件を端的に言うと、本業である事業活動を、現地施設において、本社から独立して、現地 取引先を相手に行っていることを言いますので、親法人の管理下の支店機能をそのまま子会社化したケ ースなどは要件を満たさないことになります。なお、資産性所得とは利子配当、使用料及び船舶航空機 の貸付等の資産運用にかかる所得を指します。
 つまり、実体のない子会社に所得を移転した場合には、支店を有している1のケースと実質的に変わ りないとされ、同じだけの税コストを企業が負担することになります。従いまして、子会社が納付した 現地の外国税額については親会社が納付したものとみなされ外国税額控除の対象となり、1と同様の二 重課税の排除が図られています。
 外国子会社合算税制は、租税負担の軽減を目的とするか否かを問わずして、発動条件に合致する環境 下において自動的に適用があります。特に、租税以外のビジネス上のメリットから選んだ海外拠点が軽 課税国(タックスヘイブン)にも該当するケースがあります。たとえばアジア地域の拠点となる香港 (資金調達や当局規制)、シンガポール(株式市場や成熟した経済社会)、カリブ海にあるケイマン諸 島やヴァージン諸島(簡素な書面法人設立)などは海外進出拠点として選択されるケースが多いです が、いずれもタックスヘイブンに該当します。
 
3.移転価格税制
 移転価格税制とは、国外関連者との取引価格が、取引において影響関係にない独立した第三者との間 で決まる独立企業間価格と異なる場合には、実際の取引価格を独立企業間価格に修正して、その差額に ついて追徴課税をする制度です。日本に帰属すべき所得がビジネス上の影響下にある外国企業と価格操 作されることによって外国に移転し、日本の税収が減少することを防ぐ目的で講じられた措置です。し たがって、外国への支出が多すぎる場合または日本への収入が少なすぎる場合にのみ発動します。
 この制度は、取引価格を操作しうるビジネス上の影響力に着目しているため、国外関連者の判定にあ っては、出資・議決権割合のみならず事業が他方の企業の商標に依存している、役員等が兼務している などの実態が考慮されます。またその影響力は企業グループで連鎖判定することになります。したがっ て、外国子会社合算税制で定義される特定外国子会社よりも移転価格税制の国外関連者の範囲はより広 くなります。
 独立企業間価格に引き直したうえでの追徴課税は、日本の課税庁による調査により行われるため、実 際の取引価格が独立企業間価格と相違ないかどうかは課税庁との間ですり合わせる必要があります。移 転価格の対象となる取引は資産の売買、役務提供や無形資産の使用等ですが、特に商品の販売取引につ いては金額規模が大きくリスクも高まることから、日本の国税庁による事前確認手続きの活用が強く推 されます。
  国税庁HP移転価格税制に関する事前確認の申出について
   http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h19/apa/01.htm
 日本企業の取引価額を修正すると二国間協議により相手国企業の取引価額も修正する必要があります が、日本の税収が増えると他国の税収が減少するため、二重課税排除のため二国間の協議が行われ、調 整が図られます。そうした面から、移転価格税制は、国家間の利益(税源)の取り合いとも言えます。
 多くの先進諸国はOECD(経済協力開発機構)に加盟し、国際的な課税ルールが定着しつつあります が、中国アジア等新興国はその限りではありません。先進諸国と新興国の二国間協議は多くの場合難航 するとされています。これは、植民地時代から労働力や資源力により利益を奪われてきたという国家感 情や、付加価値には必ずしもリスクを伴わないとする社会主義的な発想など様々な理由が考えられてお り、ビジネスの国際化が進むにつれて資本主義的なハイリスクハイリターン発想の先進諸国との摩擦が ますます激化すると予想されます。
 二国間での調整ができなかった場合、結果的に企業が国際的な二重課税を負うことになります。そし て、現実的に新興国へ進出する多国籍企業の二重課税は避けられないというのが、現段階の課税庁の見 解のようです。先にも述べたとおり、この制度の定義する国外関連者の範囲は広く、海外子会社はもと より、自社ブランドに依存したビジネスを行う資本関係のない海外提携企業なども含まれる可能性があ ります。したがって、現時点で新興国に進出する多国籍企業は、移転価格税制による二重課税をより具 体的なビジネスリスクの一つと認識する必要があります。
 
平成24年6月18日
  
 
 
平成24年度税制改正の一部成立-H24.4.6
 
 平成24年4月1日に租税特別措置法等の一部の改正法が施行されました。個人所得税は高額給与の控 除制限、法人税は研究開発税制の延長、資産税は住宅取得資金非課税の延長などが挙げられます。
  
■概要■
ポイント1:個人所得課税の主な改正
 給与収入1,500万円を超える場合の給与所得控除額は一律245万円に制限されました。住宅ローン控 除が拡充され認定省エネ住宅が優遇されることとなりました。また、役員等としての勤続年数が5年以 下の者に対する退職金課税を従来の2倍相当とする課税強化が行われました。
 
ポイント2:法人課税の主な改正
 試験研究活動を行った法人の税額を減免する研究開発税制のうち、前年度で期限切れとなる試験研究 費が増加した場合の上乗せ制度が2年間延長されました。 また、太陽光・風力発電設備に係る即時償却 制度(環境関連投資促進税制)が拡充・創設されました。
 
ポイント3:資産課税の主な改正
 前年末で期限切れとなる、直系尊属から住宅の取得等に充てる資金の贈与を受けた場合の贈与税の非 課税措置が3年間延長され、また、拡充されました。
 
 
■詳細■
1.個人所得課税の主な改正内容
項目
適用
内容
長期居住用財産特例 H24.1以後
譲渡分
特定の居住用財産の買替・交換にかかる対価要件を2億円か ら1.5億円に引き下げたうえで適用期限を2年延長
長期居住用財産
譲渡損繰越
延長 長期居住用財産の譲渡損失の繰越控除等を2年延長
居住用財産
買替損繰越
延長 居住用財産の買替等の場合の譲渡損失の繰越控除等を2年延
認定長期優良住宅の
税額控除
H24.1以後
新築等
税額控除の限度額を50万円から100万円に引き上げたうえで 適用期限を2年延長
特定口座報告書の
交付不要
H24年以後 年中に取引のなかった特定口座については、開設者からの請 求がない限り特定口座年間取引報告書の交付を要しない
住宅ローン控除 H24,25年中
居住
認定省エネ建築物を取得して(平成24年/平成25年)中に居 住した場合の控除率を(10年4千万1%/10年3千万1%)に 引き上げる
高額給与課税 H25年分以後
(住民税は
H26年度分)
給与収入が1500万円を超える場合の給与所得控除について 245万円の上限を設ける
役員退職課税
H25年分以後 勤続年数5年以下の役員等(法人役員・議員・公務員)の退 職所得については、1/2課税の措置を廃止する
特定事業用資産
買替
延長 長期保有の土地建物構築物の買替圧縮記帳について、買替資 産の範囲を見直し、かつ、面積300u以上に限定したうえで 3年延長
源泉税の納期限の
特例の一本化
H24.7以後
支給分
納期の特例にかかる下半期の納期限を翌年1/20に一本化す
環境関連投資
促進税制
H24.7-H25.3
取得分
認定発電設備に該当する太陽光又は風力機械等一定の減価償 却資産の取得等をして1年以内に事業供用した場合には、供 用事業年度において即時償却ができる
中小企業投資
促進税制
延長 対象資産の範囲に製品の品質管理の向上に資する工具、器具 及び備品を追加した上、その適用期限を2年延長する
研究開発税制の
上乗せ制度
延長 上乗せ措置である増加型・高水準型の税額控除制度を2年延 長する
中小企業の
少額償却
延長 中小企業の30万円未満の即時償却を2年延長する
国外財産調書 H26.1以後
提出分
年末に時価5千万円を超える国外財産を有する居住者は、翌 年3月15日までに所轄税務署長に国外財産調書の提出義務を 負い、不提出等の場合は1年以下の懲役・50万円以下の罰金 に処される
国外財産加算税 H26.1以後提出分 (加算はH27.1
以後提出分)
国外財産調書の提出があった場合において、記載財産にかか る所得について加算税が課されるときは、税率を5%軽減す るものとし、記載等がない財産にかかる加算税率を5%加算 するものとする
 
2.法人課税の主な改正内容
項目
適用
内容
源泉税の納期限の
特例の一本化
H24.7以後
支給分
納期の特例にかかる下半期の納期限を翌年1/20に一本化す
環境関連投資
促進税制
H24.7-H25.3
取得分
認定発電設備に該当する太陽光又は風力機械等一定の減価償 却資産の取得等をして1年以内に事業供用した場合には、供 用事業年度において即時償却ができる
中小企業投資
促進税制
延長 対象資産の範囲に製品の品質管理の向上に資する工具、器具 及び備品を追加した上、その適用期限を2年延長する
特定事業用資産
買替
延長 長期保有の土地建物構築物の買替圧縮記帳について、買替資 産の範囲を見直し、かつ、面積300u以上に限定したうえで 3年延長
研究開発税制の
上乗せ制度
延長 上乗せ措置である増加型・高水準型の税額控除制度を2年延 長する
中小企業の
少額償却
延長 中小企業の30万円未満の即時償却を2年延長する
 
3.資産課税その他の主な改正内容
項目
適用
内容
住宅取得資金非課税 H24年良質1500 万円一般1000万
H25年良質1200 万円一般700万円
H26年良質1000 万円一般500万円
直系尊属から20歳以上の子が贈与を受けた住宅取得等資金 について、非課税限度を良質家屋とそれ以外に区別したうえ で見直し、平成26年まで延長、ただし被災者は非課税限度 の逓減なし
相続時精算課税の住 宅取得資金 延長 特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続 時精算 課税の特例について、その適用期限を3年延長
連帯納付義務解除 H24.4以後期限到 来分 申告期限等から5年を経過した場合、延納・納税猶予の適用 を受けた場合の連帯納付義務を解除する
国外財産調書 H26.1以後提出分 年末に時価5千万円を超える国外財産を有する居住者は、翌 年3月15日までに所轄税務署長に国外財産調書の提出義務を 負い、不提出等の場合は1年以下の懲役・50万円以下の罰金 に処される
国外財産加算税 H26.1以後提出分 (加算はH27.1以 後提出分) 国外財産調書の提出があった場合において、記載財産にかか る相続財産について加算税が課されるときは、税率を5%軽 減し、記載等がない財産にかかる加算税率を5%加算するも のとする
住宅登記の減免 H26.3まで 特定認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の所有権の移転・保 存等登記にかかる登録免許税を減免
復興特区等税制
復興特区・避難解除区域税制の対象地域に福島県を加える
 
平成24年4月6日
  
 
 
消費税大改正の実務対応-H24.2.1
 
 平成22年度の改正で消費税の免税点制度が見直され、節税手段「自販機スキーム」が封じられまし た。平成23年度に実施された税制改正、および、現在国会にて審議中の税と社会保障の一体改革による 改正で、改めて消費税が大きく変わろうとしています。これらに伴う消費税の実務対応をまとめまし た。
  
■概要■
ポイント1:免税点制度の見直し(確定:H25.1以後開始期間から)
 平成23年度の税制改正により、2年前の課税売上高が1,000万円以下であっても1年前の上半期6月間 における課税売上高または支払給与額が1,000万円を超える場合には消費税が免除されないこととなり ました。これにより、個人事業の法人成りにともなう2年間の免税が制限されます。
 
ポイント2:95%ルールの廃止(確定:H24.4以後開始期間から)
 平成23年度の税制改正により、当期の課税売上割合が95%以上であってもその期間の課税売上高が5 億円を超える場合は、仕入や経費について仮払した消費税を売上について預った消費税から全額控除す ることができなくなりました。これにより、大規模な事業者については数%の非課税売上に対応する仮 払消費税を抜き出して自己負担の費用として処理する必要が生じます。
 
ポイント3:消費税率改正と新設法人特例(H24.1現在審議中)
 現国会で審議中の税・社会保障一体改革では、段階的な消費税率の引き上げが予定されています。こ の場合、金額の大きい請負契約のタイミングに注意して適用税率を管理するなどの対応が考えられま す。また、大規模な課税事業者により設立された法人の設立2年間は免税としない措置が予定されてい ます。この場合、新設子会社に課税売上を移転して消費税の免税制度を濫用するスキームに歯止めがか かることになります。
 
 
■詳細■
1.免税点制度の見直し
 現行制度においては2年前の課税売上高が1,000万円以下である場合、免税事業者に該当し、売上に ついて得意先から消費税を預っていたとしてもこれを国に納税する必要はありません。個人が新規事業 を開始した場合や資本金額が1,000万円未満の新設法人については、2年前の課税売上高がないため、 開始から2年間は無条件に消費税が免除されていました。この1,000万円を免税点と言います。
 しかし、平成23年度税制改正において平成25年1月以後に開始する課税期間については、法人・個人 ともに、2年前の課税売上高が1,000万円以下であっても1年前の上半期6月間における課税売上高また は支払給与額が1,000万円を超える場合には、消費税が免除されないこととなりました。すなわち、 規事業者や小規模新設法人の無条件での免税期間が1年間に縮小されることになります。これにより、 個人事業の法人成り、法人設立を2年毎に繰返して事業を付け替えることにより消費税の免税制度を濫 用する節税スキームに歯止めがかかることになります。
 
2.95%ルールの廃止
 消費税は、売上にかかる仮受消費税から支払にかかる仮払消費税を控除した残額を国に納付します。 従いまして、非課税の社宅貸付に関連する社宅電気代などの支払にかかる仮払消費税は、控除の元とし て対応する仮受消費税がないため、原則的に控除できません。しかし、主な事業が商品の販売などであ り、消費税が課税される収入の割合が95%以上である事業者については、仮払消費税のうちに預金利息 等わずかな非課税収入にも共通するようなもの(本社経費など)が含まれていても、特に区分すること なく、仮払消費税の全額を仮受消費税から控除できることとされていました。この全額控除制度を95% ルールと言います。
 平成23年度において実施された改正では、課税売上高が5億円を超える大規模な事業者については 95%ルールを適用しないこととされました。これにより、これまでは仮払いした消費税の全額を、預っ た消費税から控除していたところですが、今後は仮払いした消費税のうち、預り消費税から控除できる ものと、控除対象外のものを区別する経理が必要となります。区別の方法は、日々の仕訳から仕入や経 費の使途に応じて1取引ごと個別区分する個別対応方式と、仮払消費税に課税売上割合を単純に乗じて 区分する一括比例配分方式の2種類があります。これらの方法は必ずしも計算結果である納税額が一致 するわけではないため、有利な方法を選択することになります。個別対応方式は手間がかかるため、常 に一括比例配分方式によることも可能ではありますが、売上規模が5億円を超えるような大規模な事業 者にあっては、状況によっては有利差額が多額に及ぶこともあるため、少なくとも概算シミュレーショ ン等を行う必要があります。
 例えば主に一般商品の販売を行い課税売上割合が通常99%である事業者が、社宅を建築して施工業者 に消費税を支払った場合は、個別対応方式を採用すると社宅の消費税について一切控除できませんが、 一括比例配分方式を採用すると99%の控除が可能となります。
 逆に、社宅の貸付け収入により課税売上割合が通常95%である事業者で、社宅の貸付事業に関する支 出がほとんどないような場合は、一括比例配分方式を採用すると本業の仕入や経費について仮払いした 消費税のうち5%相当について控除できなくなりますが、個別対応方式を採用すると全額控除すること ができます。
 とくに課税売上高が5億円を超えるような大規模事業者については、おのずと金額の規模も大きくな りますので、事前の概算によるシミュレーションが重要となります。なお、個別対応方式と一括比例配 分方式の選択は2年ごとに任意に可能です。
 
3.消費税率改正と新設法人特例(審議中)
 平成24年1月現在国会審議中の税・社会保障一体改革では、現行の消費税率5%をH26.4から8%、 H27.10から10%に段階的に引上げることが予定されています。この場合、適用される消費税率の切替 えのタイミングに関する実務上の諸問題についての対応措置が想定されます。
 平成9年4月に消費税率が3%から5%に引き上げられた折には下記のような対応措置が講じられまし た。
【平成9年消費税率改正時の対応措置の主なもの】
委託販売 受託者の販売日がH9.4.1(以後「適用日」)前、売上計算書が委託者に到 着した日が同日以後となる場合、委託者と受託者の適用税率が異なることに なるが、委託者は受託者から送達された販売金額(10,300円)について 100/105を乗じて本体価格(9,809円、税490円)を算定。
売買計上時期の相違 売り手が出荷基準で適用日前に売上を計上し、買い手が研修基準で適用日以 後に仕入を計上した場合、買い手は外税取引であれば旧税率(当時は3%) を適用し、内税取引であれば新税率(当時は5%)を適用。
値引き返品割戻
(対価の返還等)
H9.4.30までの対価の返還等については旧税率、H9.5.1以後の対価の返還 等については新税率を適用(売り手と買い手の処理をそろえることが条 件)。
請負契約 適用日以後に引渡しが行われた場合でも、請負契約がH8.10.1(以後「指定 日」)の前日までに締結されていれば旧税率を適用。
資産の貸付 指定日の前日までに締結された資産の貸付に係る契約に基づき適用日前から 継続する貸付けを行っている場合、適用日以後に行われる貸付には旧税率を 適用。但し、指定日以後に対価の額の変更が行われた場合には、変更後につ いては新税率を適用。
通信販売 指定日前に条件を提示又は提示する準備を完了し、適用日以後に商品を販売 する場合については旧税率を適用。
割賦販売等 適用日前に行った割賦販売または述べ払条件付き販売等に係る賦払金で、同 日以後に支払期日が到来するものに係る課税資産の譲渡等については旧税率 を適用。
長期工事の請負 指定日から適用日の前日までの間に締結された長期工事の請負契約で工事進 行基準が適用されている場合、当該長期工事の着手日から適用日の前日まで の期間に対応する計算された課税資産の譲渡等に対して旧税率を適用。
 以上のような対応を踏まえると、例えば大規模な請負契約を予定している場合には適用日の半年前ま で(H26.4.1の8%への引上げについてはH25.9.30まで、H27.10.1の10%への引き上げについては H27.3.31まで)を一定の目安として、契約締結のタイミングを調整することも考えられます。また、 契約書や計算書にかかる消費税の表示方法(外税・内税)によって、適用日をまたぐ取引の実務的な取 扱いが異なっていた経緯を踏まえ、これらの税額の表示方法について再検討することが考えられます。
 
 上記と併せ審議中の新設法人免税制度について、H26.4以後に新設される資本金額1,000万円未満の 法人のうち、課税売上高が5億円を超える法人または個人に資本の過半数を保有されるものは、設立当 初2年間は免税制度の適用を受けることができないことが予定されています。これにより、子会社や兄 弟会社の新設を2年毎に繰り返し、これらの新会社に既存事業の課税売上を移転することで消費税の免 税制度を濫用するスキームに歯止めがかかることになります。
 
平成24年2月1日
  
 
 
節税保険・逆養老保険の判決-H24.2.1
 
 平成21年7月29日福岡高裁で、議論の多い逆養老保険に係る税務について個人所得税に関する税務訴 訟で納税者が勝訴しましたが、平成24年1月13日最高裁第二小法廷において、納税者が逆転敗訴しまし た。この判例を参考にし、逆養老保険の議論をまとめました。
  
■概要■
ポイント1:逆養老保険とは何か
 会社が役員等にかける貯蓄性の養老保険については、保険金の受取人に応じて会社が支払った保険掛 け金の損金処理の仕方が通達で定められています。逆養老保険とは、通達において想定された受取人を 逆に設定することで、既存の経理処理を免れるリスク商品で、法の網目をくぐり抜けたグレー商品と言 えます。
 
ポイント2:逆養老保険の論点整理の表
 
 納税者法人
 納税者個人
国税
福岡高裁
最高裁
掛け金の
損金処理
1/2は掛け捨て 保険料として損 金、残額は個人 に帰属する給与 とみなして損 金。 会社支払いの1/ 2は個人負担分 なので、給与所 得として給与所 得控除のうえ申 告。 掛け金に関する 法人および個人 の処理には触れ ず。 論点に上がらず (1/2ずつを負 担するという法 令、解釈通達は ない)。 同左。
満期金の
所得計算
保険契約による 満期金受取人は 個人なので、法 人帰属分は0で あるから処理な し。 満期金から過 の掛け金を全額 必要経費として 控除のうえ、一 時所得として1/ 2申告。 個人の一時所得 の計算上、満期 金から控除する 掛け金は、給与 とみなした1/2 相当額だけ 期金から控除す る掛け金は、条 文解釈から負担 者にかかわらず その全額とす る。 満満期金から控 除する掛け金 は、その個人が 収入を得るため に支出した金額 であるべき。
 
ポイント3:多様化する保険商品について
 保険商品は保障と節税の両側面からのニーズに応えるため、常に新しい商品が開発されこれを規制す る税制改正が随時行われます。節税を謳う保険商品について、納税者は保険会社から経理処理案内の提 供を受けるなどして内在する税務リスクを自らの責任において適切に評価する必要があります。
 
 
■詳細■
 法人の節税に有効な養老保険という商品があります。役員の死亡に備えて法人が役員に掛ける保険な のですが、その保険料を経費に入れることで、利益が減り税金が安くなります。その保険は、一定のタ イミングで支払った掛け金の大部分が返戻されますので、いわば経費になる積立貯金のようなもので す。
 
 契約者を会社、被保険者を役員等とする養老保険については、受取人の指定方法に応じて掛け金を支 払ったときの処理の仕方が法人税法基本通達9-3-4において通達されています。
 
満期金受取人
死亡金受取人
支払保険料の処理
ケース(1) 会社 会社 会社で資産計上
ケース(2) 役員等 役員等(遺族) 役員等に対する給与とみなす
ケース(3) 会社 役員等(〃) 1/2は会社で資産計上、1/2は会社で費用計上
 (1)の処理は、養老保険が貯金と同質のものである解釈のもとで認められる処理です。積立てた資 産は、保険金が支払われた段階で取り崩され、受取った保険収入と相殺されます。(2)の処理は、貯 金が最終的に役員等に帰属するものであるから、会社が保険料を負担する理由がないため、実質的には 給料を支給しているのと同じと見る処理です。満期保険金が支払われた際に、個人では保険金が一時所 得となりますが、給与とみなされた月々の保険料の合計額を保険金から必要経費として差し引くことが できます。死亡保険金が支払われた際には、遺族に対する相続財産とみなされます。(3)の処理は、 会社としては満期までに役員が死亡するかどうかが予測できず、支払った保険料がのちに会社のために なるのか、役員等のためになるのか分からないので、法律の限定的な拡大解釈のもとで認められる処理 です。この通達を定めた時代の保険会社における保険料収入の運用実績や統計をとってみると、受取保 険掛け金のおおむね半額を将来の保険金支給に備える積立運用にまわし、のこりの半額を死亡した際の 危険予測運用にまわしている傾向があったので、死ぬか生きるか五分五分の割合とみなして、こういっ た処理を認めることになったようです。 
 
 特に(3)の保険は、会社が満期金を受取ったらこの資金を元手に役員退職金を支払うことができ (月々の損金となる保険料はいわば退職金の前倒し計上)、万が一役員が死亡してしまったら弔慰金変 わりに役員の遺族に対して死亡金が福利厚生的に支払われることになります。その使い道や節税(課税 の繰延べ)効果から実務的にも普及した商品です。 
 
 逆養老保険とは、(3)で想定するケースと正反対の商品です。  
 
満期金受取人
死亡金受取人
支払保険料の処理
【逆養老】 役員等 会社 処理について定めなし
 上記通達(3)から解釈を引用し、支払った保険料の1/2である積立保険部分は役員等に対する給与 として所得税を源泉徴収し、残りの1/2である危険保険部分は会社の掛け捨て経費とする処理が実務上 考案されているようです。これを、今回の判例における納税者、国税のそれぞれの主張にあてはめる と、次の通りになります。
 
1.納税者の主張
 会社で支払った保険料の1/2を給与とみなし、残額を会社の危険保険料として費用計上して、毎年の 法人税を減額させて申告。個人は満期金を一時所得として申告する際、いままで支払った保険料の全額 を(負担が個人であるか会社であるかを問わず)満期金の額から減額し、その利益額を一時所得として 申告。
支払保険料の金額1000、満期金の金額1050、実効税率は法人・個人ともに40%と仮定
単位:万円
法人税(社長の会社)
所得税(社長個人)
差引合計
掛け金税効果
1000*1/2*40%=200
+200
みなし給料税効果
1000*1/2*40%=200
1000*1/2*40%=▲200
±0
満期金税効果
0
(1050-1000-50)*1/2*40%=0
±0
税効果合計
400
▲200
+200
保険収支合計
▲1000
+1050
+50
総収支
▲600
+850
+250
@所得税法34条2項では、一時所得の計算上、その収入を得るために支出した金額を控除する旨を規 定。
A所得税法施行令183条2項2号では、一時所得が生命保険契約等に基づく一時金が一時所得となる場 合、その掛け金の総額を控除対象とする旨を規定。 
B所得税法基本通達34-4では、控除できる保険掛け金の総額は、支払いを受ける者以外の者が負担し た保険料または掛け金の額も含まれると規定。 
 
2.税務署の主張
 社長個人の一時所得の計算につき、控除できるのは給与として個人負担した保険料の1/2相当額のみ であり、会社の負担として経費に算入させた残りの1/2相当額は、個人の一時所得の計算上控除する理 由がないものとして、社長個人に対して増額更正ならびに過少申告加算税の賦課決定処分。 
支払保険料の金額1000、満期金の金額1050、実効税率は法人・個人ともに40%と仮定
単位:万円
法人税(社長の会社)
所得税(社長個人)
差引合計
掛け金税効果
1000*1/2*40%=200
+200
みなし給料税効果
1000*1/2*40%=200
1000*1/2*40%=▲200
±0
満期金税効果
0
(1050-1000*1/2-50)*1/2*40%=▲100
▲100
税効果合計
400
▲300
+100
保険収支合計
▲1000
+1050
+50
総収支
▲600
+750
+150
@所得税法施行令183条2項2号但し書きでは、事業主が負担して経費処理されたものについて所得者の 一時所得の計算上控除しないものの例示をしているので、控除できるのは給与課税されたものに限る。
A所得税法基本通達36-32では、使用者が使用人当のために負担した生命保険料等が少額であれば給与 課税しない旨を定めているが、同通達34-4では、この課税されない場合については一時所得の計算で 控除する金額に含む旨を敢えて注記していることからすると、給与課税されていない保険料を控除でき るのはあくまで例外とみなすべき。
B一般の養老保険契約において、満期金が個人に対する一時所得となるのは法人税法基本通達9-3-4 (2)の給与課税のケースであり、これにより、個人に帰属する掛け金もまた給与課税されたものに限 定されていると読み取るべき。 
 
3.裁判所の判断 
【第一審】
 納税者主張Aの示す通り、同規定を素直に読めば、負担者が誰であれ、支払い保険料全額が、受取り 満期金から控除されることになる。そして、税務署主張@の但し書きは限定的なケースであり、これこ そ例外とみるべき。納税者主張Bの示す通り、負担者がだれであろうと、そして既に費用計上済みだろ うと他で控除済みだろうと、保険一時金に係る必要経費相当額として控除すべき金額は、保険掛け金の 全額が原則ということが読み取れる。税務署主張ABでは、一時所得の控除対象が給与課税されている ことを前提とするものであるとしているが、その点について明文はない。 
 
【第二審】 
 一時所得については、その発生原因が複雑だから、控除する必要経費が簡単に算出できない。特に生 命保険契約の満期金などは、収入と必要経費との関係が直接的でない。一時所得から控除する金額を条 文で「その収入を得るために支出した金額の合計額」と定義したところだけで、その金額の負担者がだ れであるかを読み取ることは不可能である。したがって、税務署の主張は採用することができない。ゆ えに、納税者の主張を採用せざるを得ない。 
 
【第三審】 
 所得税法34条に定める「その収入を得るために支出した金額」とは、収入を得た個人において自ら負 担して支出したものといえる場合でなければならないと解する。法人が死亡保険金に対応して保険料と して経理した部分はあくまで法人が危険保障のために支出したものであり、役員個人の収入を得るため に支出した金額ではないから役員が受取る満期保険金から控除することはできない。
 
 なお、平成23年6月に、一時所得から控除する金額を給与課税されたもの(負担者が保険金を取得す る本人であるケース)に限定する法令改正(所得税法施行令183条 C三、184条B一)が行われていま す。
 
 節税を目的とする保険商品は、新しい商品が開発される都度これを規制する税制改正が随時行われ、 常にイタチごっこが繰り返されています。税法の規制は逆を言えば法の保証ともなり得ますので、法の 想定を超えるような節税商品は常に税務リスクを内包すると言えます。
 納税者は税法の規制のない・法の保証のない商品に関する意思決定をする場合は、節税メリットと併 せて目に見えない税務リスクを適切に評価する必要があります。その節税商品が法の保証のない商品で あることを知らずに意思決定をするような事態があってはなりません(事例は少ない)。したがって、 節税を目的とする商品については、保険会社や取扱い会社から経理処理案内の提供を受けるなどして法 の手当ての有無を確認するとともに、法の想定を超えるような商品であれば、内在する税務リスクを専 門家に相談して適切に評価する必要があります。
 
平成24年2月1日
 
 
 
社会保障・税一体改革-H24.1.18
 
 平成23年末に内閣府税制調査会が開かれ、平成24年1月6日の初閣議案件で社会保障・税一体改革素 案が報告されました。この素案に基づき与野党協議を経たのち税制改正の大綱が策定され、法案が立案 される方向です。大綱が策定され次第、追ってお知らせします。
  
■概要■
ポイント1:消費税の増税
 現行の5%から平成26年4月1日より8%、平成27年10月1日より10%と段階的に引き上げられます。 また、小規模新設法人の免税措置の縮小、小規模事業者の簡易課税のみなし仕入率の見直しなどが行わ れる予定です。
 
ポイント2:高額所得者の増税
 消費税増税に伴う税負担の逆進性に鑑み高額所得者の税負担を強化するため、平成27年以後の所得額 のうち5000万円を超える部分については45%の新たな税率が設けられます。
 
ポイント3:資産課税の見直し
 格差是正のための富の再配分機能を見直すため、相続税がかからない遺産の範囲(基礎控除)を現行 の60%相当まで引き下げることとなります。一方で、固定化した財産を現役世代へ早期移転し消費拡大 を図るため、直系卑属に対する贈与税が緩和されます。これらの改革は平成27年以後発生分から適用 予定されています。
 
 
■詳細■
(1)消費税の増税
 1.税率の引上げ
現行
平成26年4月1日
平成27年10月1日
5% (国4%+地方1%)
8% (国6.3%+地方1.7%)
10% (国7.8%+地方2.2%)
 2.新設法人の免税措置
  資本金1000万円未満の新設法人については2年間免税とされ、預かった消費税を国に納付する
 義務がありません。ていましたが、平成25年1月以後は初年度6月間の売上又は給与が1000万円
 を超える場合の免税期間は1年間とされています。これに加え、平成26年4月以後に設立される法
 人のうち、5億円超の課税売上高を有する事業者(法人・個人)に持分50%超を支配される法人
 については、設立から2年間課税事業者として納税が免除されないことになります。
 3.みなし仕入率
  課税売上高が5000万円以下の事業者に認められる簡易課税制度におけるみなし仕入率が、現実
 の仕入率(売上のうちに占める仕入の割合)を大幅に上回っていることから、みなし仕入率を是正
 して負担格差を縮小します。
 4.その他
  税金の前払である中間申告義務のない事業者に対し、平成26年4月以後の開始課税期間につい
 ては任意の中間申告を可能とする制度が導入されます。
 
(2)高額所得者の増税
 消費税率の引き上げに伴う租税負担の逆進性(低所得者層が収入を消費に回す割合が、高所得者層が 収入を消費に回す割合よりも高いことにより、低所得者層が負担する消費税の収入に占める割合が、高 所得者層よりも高くなる性質)がますます高まることを考慮し、高所得者層に対する所得税の負担が強 化されることになります。
 現状の所得税は、所得額を金額の大きさに応じて区分し、小さい部分から税率を順次高率にする超過 累進課税(所得500万円の場合、195万以下*5%+195万超330万以下*10%+330万超*20%)が採用 されているところですが、現在の最高税率40%(所得のうち1800万円超の部分に対する税率)からさ らに一段高い税率45%(所得のうち5000万円超の部分に対する税率)が設けられます。
 
(3)資産課税の見直し
 1.相続税
  相続税は遺産総額のうち基礎控除額を超える部分に課されます。基礎控除額の改革により、
 これまで相続税の課税対象とはならなかった一般家庭も課税対象に含まれることになります。
 (現行)一律5000万円+1000万円×法定相続人数
  妻と子2名の場合、遺産総額8000万円(5000万円+1000万円×3人)まで相続税課税対象外
 (改革後)一律3000万円+600万円×法定相続人数
  妻と子2名の場合、遺産総額4800万円(3000万円+600万円×3人)まで相続税課税対象外
  また、死亡保険金については法定相続人の数に500万円を乗じた金額まで非課税とされていま
 したが、改革後には、法定相続人のうち未成年者、障害者、同一生計者に該当する者の人数を乗
 じることとされます。
  さらに相続税は、課税対象となる遺産総額を金額の大きさに応じて区分し、小さい部分から税
 率を順次高率にする計算がなされていましたが、この税率構造を見直し、遺産総額の大きい相続
 の税負担を強化することとされます。 
現行税率
改革後税率
1000万円以下:10% 同左
3000万円以下:15% 同左
5000万円以下:20% 同左
1億円以下:30% 同左
3億円以下:40% 2億円以下:40%
3億円以下:45%
3億円超:50% 6億円以下50%
6億円超:55%
  上記の他、未成年者及び障害者に対する税額控除を現行の6万円から10万円に引き上げる措置
 が検討されています。
 2.贈与税
  贈与税についても、相続税と同様に課税対象となる贈与財産額を金額の大きさに応じて区分し、
 小さい部分から税率を順次高率にする計算がなされていましたが、この税率構造を見直し、現役
 世代への早期移転を促すこととされます。
20歳以上の者が直系尊属からの贈与財産
現行税率
改革後税率
200万円以下:10% 同左
300円以下:15% 400万円以下:15%
400万円以下:20% 600万円以下:20%
600万円以下:30% 1000万円以下:30%
1000万円以下:40% 1500万円以下:40%
3000万円以下:45%
1000万円超:50% 4500万円以下:50%
4500万円超:55%
左記以外の一般の贈与税
現行税率
改革後税率
200万円以下:10% 同左
300円以下:15% 同左
400万円以下:20% 同左
600万円以下:30% 同左
1000万円以下:40% 同左
1500万円以下:45%
1000万円超:50% 3000万円以下:50%
3000万円超:55%
  また、相続時精算課税制度の適用要件について、受贈者(20歳以上である推定相続人)と贈
 与者(65歳以上)の要件が緩和され、受贈者については20歳以上である孫が加えられ、贈与者
 については60歳以上とされます。
 (参考)内閣府http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2011/23zen30kai.html
平成24年1月18日
 
 
   
(c)赤羽税理士事務所